日本画の絵具を、必要な分だけ量り売りしてくれる、とても素敵なお店。ずらりと並ぶ美しい色の瓶を眺めているだけで、時間を忘れてしまいそうになります。
ここには、天才絵師・長谷川等伯と、息子の久蔵(きゅうぞう)が描いた国宝の障壁画があるのですが、どうしても見てみたくて足を運んできました。
あの立体感は、貝殻から作られた白絵の具「胡粉(ごふん)」を何度も塗り重ねる技法なのでしょうかね。
幸運なことに、他に人がいなかったので独占できました。
こんにちは、るなくろです。
50代でもう一度絵を描こう!と決めてから、少しずつ道具や環境を整え始めています。
そんななか、「あ、そういえば!」と思い出した宝物があります。
なんと、今から約30年も前に買った色鉛筆です。
ずらりと並ぶきれいなグラデーションがもったいなくて、当時はただ箱を開けて眺めるだけで満足して、
ほどんど使わず、そのままそっとしまっていました。(あるあるですよね…!)
でも、「色鉛筆って、フタを開ければ1秒で描き始められる!」と気づいた今、30年越しにようやく、
大事に?していたけど使っていこう!と決めました。
■ 日本画の「小下絵」にちょうどいいかも
実は、この色鉛筆を使いたい、ぴったりの役割を見つけたんです。
それが、日本画のステップにある「小下絵」という、小さな設計図作り。
これがしっかりしていないと作品に迷いがでるとのこと。
前にみた日本画の団体の展示で小下絵も展示されていて
水彩画でのスケッチの様。紙も足りない部分は継ぎ足して描いてました。
「みどり、黄色、、、あれ?赤がいいかも!」とか
自分のイメージを膨らませる・・・いや、描いてみる!
そんなふうに、あれこれ頭の中で実験している時間が、実は一番ワクワクして楽しい時間なのかもしれません。
■ カフェの片隅で、サッと広げる楽しさ
そして、色鉛筆のいいところは何と言っても「どこにでも持っていける手軽さ」です。
小さめのスケッチブックと、色鉛筆をいくつかペンケースに入れてカバンにポン。
これだけで、お散歩ついでにふらっと入ったカフェの席が、私だけの小さなアトリエになります。
絵の具みたいに水を用意する必要もないし、乾くのを待つ時間もいりません。
コーヒーを待つちょっとの間、窓から見える景色や、そのとき心に浮かんだ色をサラサラっとノートにメモする。
いつもならスマホを見て終わっちゃう時間が、色鉛筆が1本あるだけで、なんだかすごく特別な時間に思えてきます。
■ 枠にはまらず、いろいろ試してみたい
今回は日本画の準備をきっかけに色鉛筆を引っ張り出してきましたが、私の絵描きライフはまだ始まったばかり。
べつに日本画だけにこだわらなくてもいいや、と思っています。これから先、また全然違うおもしろそうな画材に出会うかもしれないですしね!
30年も待たせちゃったけど、今でも当時のまま鮮やかに発色してくれる頼もしい相棒。
上手く描こうなんて気負わずに、まずはこの軽やかな色鉛筆と一緒に、
カバンにワクワクを詰めてお出かけしてこようと思います。
30年経っても変わらず美しい発色をみせてくれた色辞典です。
何年か前に日本画と出会った話です。
絵を描くワークショップを探していたとき、ふと目に留まった募集。
「岩絵の具(いわえのぐ)で絵を描いてみませんか?」
岩絵の具って何だろう?と思いつつ、軽い気持ちで全6回のコースに参加してみました。
そこで初めて知ったのは、それが「日本画」の世界でした。
幼少期に油絵や水彩画を習っていましたが、日本画は全くの未知数。
「そもそも何が違うの?」という状態からスタートしました。
「洋画とは違う」おもしろさ
今回は全6回ということもあり、下絵からすべて自分で描き上げました。
洋画が光と影のグラデーションで立体感を出すのに対し、日本画は何よりも「線」と「余白」を美しく見せる世界。
昔からグラデーションをつけるのが苦手だったので、
「グラデーションじゃなくて線の世界なんだ!ラッキー!」と、
鉛筆を動かしながら心の中でガッツポーズをしてしまいました。
抽象画でOK。心で感じたことを絵にしたら良いとのことでした。
** 自然の恵みから生まれる、3つの美しい絵の具たち
チューブから出すだけの洋風絵の具とは違い、日本画の絵の具は、自然の素材から作ります。
今回触れたのは、それぞれ全く違った表情を持つ3つの絵の具でした。
岩絵の具:天然の鉱石や貴石を砕いた、まさに「宝石」の絵の具。キラキラとした輝きが最高に綺麗です。
水干(すいひ)絵具:泥から精製された、粒子が細かくなめらかな絵の具。
胡粉(ごふん):牡蠣などの貝殻から作られる、日本画に欠かせない特別な「白」です。
特に驚いたのが胡粉の準備です。貝殻の粉に膠(接着剤)を混ぜて、
耳たぶほどの硬さの「胡粉団子」を自分でこねて作ります。
絵を描きに来たはずなのに、まるでお団子作りをしているようなこの丁寧なプロセスが、面白く感じられました。
また、今回は基本の体験でしたが、後から調べてみると日本画の世界には、他にも金箔や銀箔といった「箔(はく)」、
雲肌麻紙(くもはだまし)や鳥の子紙といった特別な「和紙」、そして様々な種類の墨や墨汁など、
奥深い画材がたくさんあることを知りました。
知れば知るほど、さらに新しい挑戦をしたくなってワクワクしてしまいます。
人口が減っているからこその「希少価値」
ワークショップを終えてから知ったのですが、今、日本画を描く人の人口は全体的に減っているのだそうです。
「今、日本画をやっているということ自体が、ものすごく贅沢で希少価値がある」
ということなんじゃないか、と思いました。
誰もが簡単に手に入れられるデジタルや、チューブの絵の具とは違う。自分の手で宝石を砕いた粉を扱い、貝殻でお団子をこねて、日本特有の線と余白の世界を表現する。この一連の体験そのものが、他にはない特別な価値を持っている気がします。そう考えると、日本画って誇らしく、さらに愛おしくなってきました。
手探りながらも自分で下絵に悩み、石や貝殻の不思議な絵の具に触れる時間は、大人の私にとって最高に贅沢で「特別」なひとときでした。
完璧にうまく描けなくても、思いがけない質感や色の重なりに出会えただけで、今の私にとっては最高の時間です。
私の不格好で愛おしい絵描きのノートに、またひとつ、新しくてちょっぴりレアな「彩り」が増えました。>
幼い頃、幼稚園から小学校4年生くらいまで、絵を習っていた。
画用紙に向かって絵の具を混ぜ合わせたり、自分なりの世界を描いたりする時間が、たまらなく好きだった。学校の美術の時間もずっと好きだった。
けれど、高校に入ると美術の時間がなくなり、私の日常から「自分で絵を描く」という行為はすーっと遠ざかっていった。
それからの日々は、もっぱら「見る側」だった。
時々美術館へ足を運んでは、誰かの描いた素晴らしい作品の前に立ち、その美しさに心を震わせる。それだけで十分に満たされていた。
写真と仲間たち、そして心に秘めていた老後の楽しみ
実は、写真教室に通っていた時期がある。
写真も好きだったし、そもそもアート全般が好きなんだと思う。
教室には気の置けない仲間ができて、気がつけば通算7年くらい通っていた。一人で向き合うのとは違う、仲間がいるからこその熱量。あの頃の日々は、私の世界をとても豊かにしてくれた。
写真も大好き。でも、心のどこかでこんなふうに思っていた。
「写真はたっぷり楽しんでから、晩年には、ゆっくり絵を描いて暮らすんだ」
老後の楽しみに、絵をそっと取っておくつもりだった。
コロナ禍と、人生の転換点
ところが、世界は一変した。コロナ禍でどこにも行けなくなり、カメラを持って外へ出かけることが難しくなった。
その閉塞感の中で、「晩年にやろうと思っていた絵に、今注力してみよう」と思い立った。
家の中でできる表現を求めて、ワークショップに少し足を運んでみたりもした。
――でも、人生は一筋縄ではいかない。
家の中でいろいろなことがあり、バタバタと忙殺されるうちに、また絵から心が遠のいていってしまった。
人生の後半は、もっと楽しく
いろいろな出来事を経て、最近、自分の考えが大きく変わってきた。
これまでの人生、あれこれ先延ばしにしたり、色々なことに気を遣ったりしてきたけれど……。
やっぱり、自分の人生だもの。もっと楽しく過ごしたほうがいい。
先のことばかり考えず、今、自分が「やりたい」と思うことに素直になりたい。
不格好でも、下手くそでもいい。
50代の今、もう一度筆をとって、自分のために楽しく絵を描いてみようと思う。
このブログでは、50代から再び絵を描きはじめた私が、日々のなかで感じたことや、小さな挑戦をそのままの言葉で綴っていこうと思う。
うまく描けないもどかしさも、思いがけずいい色が塗れて嬉しかった瞬間も。
美術館で受けた刺激や、旅先で心動かされた景色も。
完璧じゃなくていい。未完成なままでも、自分が「好きだ」と思える彩りを、少しずつノートに重ねていきたい。
初心者マークをつけた私の、不格好で愛おしい絵描きの第一歩。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
京都博物館で素晴らしい展示を満喫した帰り道。
そのまままっすぐ帰るのが少し名残惜しくて、和紙の専門店へ立ち寄りました。
そこで、ずっと探していたある和紙を、ついに購入することができました。
それが「落水紙(らくすいし)」です。
私が落水紙を知るきっかけになったのは、少し前に見に行った「院展」
でした。
日本画の作品をじっくり眺めていると、美しい色彩の下に、なにやら独特な風合いの和紙が貼られているような気がしたのです。
(どのような手順で重ねて貼っているのか、その具体的な技法は今もまだ謎のままなのですが……)
何より私の心を捉えたのは、その和紙に施された、繊細に繰り返される美しい模様。
「この不思議な模様は一体どうやって作られているんだろう?」
それ以来、あの模様の正体がずっと頭の片隅で気になっていました。
そんなある日、スマートフォンの画面をスクロールしていたときのこと。
Instagramのタイムラインに、和紙を職人さんが作っている動画がふと流れてきました。
(こういう関心があるものって、本当に不思議と「おすすめ」に流れてきますよね!)
画面に釘付けになりながら動画を見ていると、まさにあの院展で見かけた「繰り返す模様」が作られる瞬間が映し出されたのです。
そこで初めて、その和紙が「落水紙」という名前であることを知りました。
動画で紹介されていたその作成手順は、驚くほど美しく、職人技が光るものでした。
1. 和紙を普通に抄(す)く
まだ乾いていない、水分を含んだ生の和紙の層を作ります。
2. 水を落とす
その上から、シャワーや水滴のように細かく水を落とします。
3. 模様が浮かび上がる
水滴が当たった部分の繊維が弾かれ、そこだけ薄くなったり小さな穴が開いたりして、あの美しい模様ができあがります。
まさに「水が描き出す芸術」なのだと分かったとき、本当に感動してしまいました。
今日、お店で手に入れた本物の「落水紙」。
水滴が描いた繊細な文様がふわりと浮かび上がり、ため息が出るほど美しいです。
この落水紙をどうやって自分の作品に反映していこうか……。
今はただ、広げてじっと眺めている時間ですら、とても愛おしく感じられます。
焦らずゆっくり、この和紙と一緒に作品のイメージを膨らませていけたらいいなと思っています。
マリメッコ展へ行ってきました。
以前、オーロラを見るためにフィンランドを訪れたことがあります。その時にヘルシンキで泊まったホテルが、マリメッコのデザインであふれていて、とてもかわいかったことを今でも覚えています。部屋の中のファブリックや小物など、どこを見ても素敵で、「フィンランドっていいなぁ」と感じた思い出のひとつです。
そんな思い出もあり、今回のマリメッコ展の開催をとても楽しみにしていました。
展示内容は本当に素晴らしく、作品のひとつひとつからデザインの力を感じました。まだ始まったばかりの展示なので、詳しい内容については割愛しますが、興味のある方にはぜひ実際に足を運んで体感していただきたいです。
会場を訪れている方々を見ていても、マリメッコの洋服やバッグを身につけている方が多く、その愛され続けている魅力が伝わってきました。本当にかわいい…♪
最近は、絵を描き始めたこともあり、「デザイン」というものに以前にも増して興味を持つようになりました。ただ「かわいい」「おしゃれ」というだけではなく、人の気持ちを明るくしたり、ほっと和らげたりする力があるのではないかと感じています。
私もいつか、見た人が少し幸せな気持ちになれるような絵を描けたらいいなと思っています。
縁起がいいもの。
気持ちが和らぐもの。
美しいもの。
そして、思わず「かわいい」と笑顔になれるもの。
そんな絵を、これから少しずつ描いていけたらと思っています。
マリメッコ展は、素敵な作品を見るだけでなく、自分がこれからどんなものを描いていきたいのかを考える、良いきっかけになりました。
またいつか、フィンランドへ旅行に行きたいものです。